エクアドルの技術者

教室エクアドルの技術者は根本的に考え方が間違っている者が多い。まず、基礎や理論をないがしろにして進んだ事や演習をやりたがる者が多すぎる。

基礎や理論なしには難しい技術を本質的に理解できない。私も生徒にそう説明するが謙遜を知らない生徒が多く基礎は良いから先進技術を教えろと言ったり理論は退屈だしわかっているから実習をもっと増やせと要求してくる。別に意図的に理論を多くしてはおらず最低限盛り込んだだけにも関わらずだ。実際、彼らは基礎を理解していない。過去のテストの点がそれを証明してくれている。

他の分野でも状況は変わらないようで例えば自動車整備ではネジの大きさをあまり気にしないで微妙に違うサイズを使ったりヒューズを使わず直接配線して部品を焼いたりなどなど基本的な事ができずに発生するネタは尽きないそうだ。

授業風景これによる弊害として問題解決手順が適当になっている事が上げられるだろう。生徒に実習をさせると大なり小なりの問題が発生するのだが基礎を知らない為、適当にいじって他の問題を発生させる事が多々ある。そして問題解決できても何故解決できたか本当に理解できる生徒が少ない。

他にまずい所としては論理的に考えられる人間が少ない事だろうか。前記の通り問題解決は論理性とは乖離している。講義の中で仕事(実習)を始める前と問題が発生した時は手順を書けと言っているが論理的に書ける者はほぼ皆無であった。

問題を解決するにあたり原因として疑うべき項目はいくつかあるがそれぞれ優先順位を持っている。生徒は平気で最後に確認すべき項目を最初に持ってくる。(ちなみに生徒の殆どは技術者としてコンピューターを扱っているか大学でシステムを勉強している)

古い教室例えば物理的問題はない前提ですべてのクライアントマシンがWebサーバーに接続できないとする。疑うべき項目をいくつか上げるとサーバー上でサービス(プロセス)が起動していない、サーバーの設定間違い、アクセスコントロール(ファイヤーウォール等)の不具合などが上げられる。この場合まずサービスを確認する必要があるのだが殆どの生徒はアクセスコントロールをいじる。(サービスが起動していなかったらアクセスコントロールの設定が完璧でも接続は不可能) 優先順位なんて何も考えちゃいない。
※わかりやすい例が無くてごめんなさい m(__)m

更に問題なのはプライドが高くこちらの言う事に聞く耳をほとんど持たない事だ。別に自分で何とかできるのであればそれで良いのだけれど自分の頭を使って調べたり論理的に推理したりできない。私の職場にとある契約講師がいて彼が「ネットワークが繋がらない、おまえの設定ミスだ」と言うので調べたら単に彼がハブの電源を入れていなかっただけ。

授業その時彼に「おまえネットワークわかっているのか?」と質問したら彼は「わかっている。だって俺は大学を卒業しているからな」だって(苦笑) 気づいてもらう為に「本当か?俺の生徒も大学卒業しているけどわかっていない奴が多いぞ」と言ったら突然怒り出して「おまえ職場の外であったら覚えておけ」と捨て台詞を吐いて出て行った。(これについて後日談があるのだがそれはまた別の雑記で。。。) 彼が特別プライドが高かっただけかもしれないがカウンターパートも他の隊員も一般的にエクアドル人はプライドが高いと認めている。(あるいは全くプライドが無く人に押し付ける人も多いとか・・・)

プライドには責任感と表裏一体の良いプライドと単に自尊心だけの悪いプライドの二種類ある。残念ながらエクアドル人で良いプライドを持っている人を今までほとんど見ていない。

そしてプライドが高い割にはセコイ考え方をしている人が多く、自分の知っている (私に言わせると大した事のない) 知識を後生大事に人に教えず自分の中でしまい込んでいる。

良質の教育が行われていなかったり勉強するのに適切な本が無いなど彼らに同情すべき所はある。しかし、教える側としては難しいのは事実。こちらの実力を認めさせればある程度聞いてくれるようにはなるのだが前記の通り難しい面が多いのでこの国が技術立国になるには当分時間がかかりそうだ。

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